2度目の五輪への道は険しくなった。静岡県で3日にパリ五輪選考を兼ねて行われた陸上の日本選手権男子1万メートルで5位に終わった相沢晃(26)=旭化成、学法石川高卒。レース後、1月に痛めた左膝の影響で本調子から遠かったことを明かし「(1万メートルの)集大成のつもりだったが、準備不足もあった。最後に粘りは出せたが結果としては情けなかった」と息を切らした。
 相沢の本来の強さは影を潜めた。レース序盤から先頭集団に食らい付いたが、疲労の色を隠せなかった。残り約4000メートルに差しかかった場面ではユニホームで顔の汗を拭うなど、集団の最後方7番手から前には出られず、残り2000メートルで集団からも離された。最後の400メートルで5位まで順位を押し上げたが、パリ切符の条件だった優勝と参加標準記録(27分0秒00)突破には届かなかった。
 1月に左膝を負傷し、本格的な練習を再開できたのは3月中旬だったという。「本当に調整はぎりぎりで、ラストで競り合うような状態ではなかった。行けるところまで必死だった」と相沢。優勝した葛西潤は旭化成の後輩に当たり「練習を見ていて優勝すると感じていた」と、自分の状態と結果を潔く受け止めた。
 パリ五輪は当初、マラソンで出場を狙う予定だったが、東京五輪の1万メートルで結果を残せなかったことから人生設計を変えて同種目でパリを目指してきた。五輪出場の望みはわずかに残っており、6月30日までにワールドランキング対象競技会で好記録を残し上位に入った場合に可能性がある。
 相沢は2週間後にロンドンで開かれる対象競技会にエントリーしていることを明かした上で「体調が整えば挑戦する。最後まで諦めずにいきたい」と前を向いた。(佐藤智哉)